パリのアート誌、Républic des Arts(レピュブリック・デザール)に掲載されました!


パリのアート誌、Républic des Arts(レピュブリック・デザール)の6月号に掲載されました。講評では、ARTEC会長のイカール氏に、色鉛筆での制作に注目され、「人間と機械の違いは何か」という内容でご紹介頂きました。
こちらのアート誌はパリのキオスク限定で置かれますが、日本のアーティストを紹介する媒体として注目されています。
私は人間が本来持つ「生きる力」を大切に、そしてテーマに制作をしています。ここでも紹介されたように、色鮮やかで幻想的なイラストを得意としており、一瞬で目を引く必要がある媒体と相性が良いと自負しております。

最後に、フランスという芸術の聖地に日本の創作の素晴らしさを伝える一助を担えれば幸いと存じます。

2025年6月12日 浅田セイホウ

以下、講評文
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輝きに満ちた世界の物語

人間と機械の違いについて考えるとき、人間に特有なのは「不完全さ」であると言えるでしょう。写真、Photoshop、そしてAIなどの新しい技術に直面したとき、私たちの手作業による技術的な熟練は問われることになります。これらの技術的なツールが生み出すイメージには、完全なシンメトリー、厳密な遠近法、そして細部の絶対的な精密さという点で共通しています。
人間は長い間、自然を模倣し、肖像画や風景画において自然の幻影を再現しようと試みてきました。しかし、今日では誰もが簡単に写実的な表現にアクセスできるようになっています。人間はもはや「競争される存在」ではなく、「置き換えられる存在」になっているのです。リアルを忠実に再現する作業においては機械の方が優れており、人間に残された空間は、夢、世界の創造、試行錯誤、間違いや不器用さ、そしてそこに宿る魅力といった、まさに人間的な領域だけなのです。

Seihou ASADAは、紙と鉛筆を用いてイメージを描くという、人間にのみ可能な表現の「手触り」を大切にしています。かつてボードレールが新品のスーツを購入した際、サンドペーパーで少し擦り、着古した風合いを出そうとしたという逸話があります。そこに「人間らしさ」が宿るからです。それは、彼を優雅なダンディたらしめたエレガンスでもありました。グラフィックアートの世界におけるダンディ、それがSeihou ASADAです。色鉛筆を使い、彼は私たちを幻想の国へと連れて行く語り部なのです。

《White snake》では、白蛇が貧しい薬売りの男と結婚するという中国の伝説を思い起こさせます。2人は幸せに暮らしますが、ある僧侶が夫から白蛇を引き離そうとします。作品では、手前にうねる白蛇が描かれ、背景には豊かな色彩の風景が広がり、富士山が夕日の中に浮かび上がっています。青空には星がまたたき始め、波は装飾的に描かれ、蛇の体のうねりと シンクロしているようです。

《Wild wolf》では、青白い毛皮を持つ白い狼と暗夜の背景とのコントラストが夢想的な雰囲気を生み出しています。そしてさらに夢の世界へ続く《Whale on the moon》は、月の上を泳ぐクジラという、現実にはあり得ない光景を描いています。この作品では、建築物を下から見上げる構図により、画面の中心に月が据えられ、その上を泳ぐクジラの存在が強調されています。黄色い月はピンクの光輪に包まれ、無数の星がきらめき、見る者に喜びの感覚を与えます。

《Swimming in the milky way》では、同じく夜空に浮かぶ月と天の川がピンクの光に包まれ、そこを人魚が泳いでいます。
これらのビジョンはすべて、まぎれもなく人間の手による純粋な創造であり、私たちはそこに、自分自身の夢を見出すことになります。

評論 フランソワーズ・イカール
2021年、芸術文化勲章を受勲。
芸術振興協会ARTEC会長、ヨーロッパと世界の女性アーティスト市民の会アルトゥエルスグループ会長、ラバーゼ事務局長、フランス芸術記者組合会員、職業芸術家組合会員、芸術・科学・文学会員。SMLH(レジオン・ドヌール勲章会員協会)準会員、ヨーロッパ芸術科学文学アカデミー(AESAL)永久幹事。
トゥール大学を卒業後、ルーヴル美術館の肖像画家であった父のもとでデッサンとパステルを学ぶ。教師としてのキャリアをスタートさせ、BTS(上級技術者免状)のコミュニケーションと心理社会学、創造性を専門に指導。ラジオ番組の司会、テレビ出演など多くのメディアでも活躍している
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6月 28th, 2025 by